その後、彼とは…

宮崎市内に住んでいた真衣さんは、男性に対してまったく興味がなく、縁もなく、無難に10代を過ごした。両親は離婚しており、祖父母と母親の4人でずっと穏やかに暮らしていた。

祖父母に迷惑をかけないよう、家と学校との往復だけの健全すぎる高校生活。服装にも気を遣わず「だらしない見た目だった」という。

『大人処女ーー彼女たちの選択には理由がある』(著:家田荘子/祥伝社新書)

高校は共学だったが、もともとは女子校で、同じクラスに男子は2人しかいず、女子校同然と言えるような高校生活を送ってきた。

20歳になって、「男っ気」のなかった真衣さんにやっとやって来た初体験のチャンスだったが、「不性交」に終わってしまった。それで、彼とはどうなったのか?

「はっきり相手に言われたわけじゃないんですが、(別れの)雰囲気を私が感じてしまったので、『もう、こうやって会うの、やめよう』と、私のほうから言っちゃいました。実際、その先も『できない』ってことが原因で別れたことが多かったし……」

その後、24歳で東京に出てくるまでの4年間。真衣さんは、男性とつきあうことも、つきあいそうになることもまったくなく過ごしてきた。

「仕事で遅くなる日も、祖母が起きて待っていてくれちゃうので、飲み会には行かれませんでした」

真衣さんにとって、それが不満でも何でもなく、普通だった。家族から彼氏のことや結婚のことについて聞かれることも、急(せ)かされることもなかった。今日の真衣さんのファッションを見ても、グレイのセーターとロングスカートという地味めなコーディネイトで、外に遊びに出かけたり、皆と騒いだりといった生活からは遠そうに思える。