何回やってもダメでした

24歳の時、会社の業務縮小をきっかけに、真衣さんはあてもなく東京へ出てきた。よくあることだが、手っ取り早い収入のため、真衣さんも夜の接客業に就いた。

都会の男性との出逢いは十分にあった。そこで真衣さんは、30代のお客の1人と「できるようにしてもらうために練習としてつきあってもらった」そうだ。

「私、あんまり男の人を好きになったことがなくて、恋愛とも言えないカンジなのに、試してみたくて、流れでホテルへ」

あらかじめ男性経験のないこと、できなかったことを相手に伝えていた。彼は、「できるといいね」以外、特に何も言わなかったというが……。

「何回やってもダメでした。日にちを変えて何回か試してみたんですけど……。」

「開通しなかった……?」

私が尋ねると、真衣さんは小さい声で、「はい……」と、頷いた。

そうして眉尻を下げながら、話を続けた。

「痛みにどうしても耐えられないんです。いろいろされても、『気持ちいい感覚や感じる』ってことがわかんなくて。『痛い』ということが頭のなかでいっぱいで。その人ともダメとわかったから、また違う試せる人を探し始めました」