お金に不安があると判断力が大幅に低下する

今、変化の大きい時代に生きる私達にとって必要なのは、貯金額に安心することより、むしろ江戸時代のような心持ちでいることだと思っています。

そして人生に対する漠然とした不安をお金で解決しようとすると、とても莫大なコストがかかります。

今、変化の大きい時代に生きる私達にとって必要なのは、貯金額に安心することより、むしろ江戸時代のような心持ちでいることだと思っています(写真提供:Photo AC)

具体的な想定が何もない「万が一」のときに備えて貯金しようとすれば、いくらあっても十分と思えることがなく、ずっと欠乏感を感じた状態になります

米ハーバード大学の経済学教授センディル・ムッライナタンと米プリンストン大学の心理学教授エルダー・シャフィールの『いつも「時間がない」あなたに-欠乏の行動経済学』(早川書房)という本に掲載されている、ある実験結果。

これによると、人はお金に不安があると判断力が大幅に低下するそうです。

その実験はインドの農業地帯でおこなわれました。

収穫前で「お金が足りない状況」と、収穫後で「お金に余裕がある状況」の農民に対して、知能検査をしたところ……正解率は、収穫後のほうが約25パーセントも高い結果に。

お金について「目先の欠乏」に視野が奪われている状態では、長期スパンで自分の収入を上げることよりも、目の前の10円単位の節約に一喜一憂してしまい、いつまで経ってもお金が増えないという悪循環が生まれます