コース料理が嫌いな人の理由

なぜならば世の中には、コース料理が嫌い、という人が少なからず存在するからです。

それはどちらかと言うと男性に多い、という印象を持っています。女性の方からは「自分はレストランでコース料理を楽しみたいけど男性パートナーがそれを嫌がる」という愚痴を頻繁に聞くのですが、その逆はまず無いからです。

『お客さん物語:飲食店の舞台裏と料理人の本音』(著:稲田俊輔/新潮社)

それは一部には、コース料理はお金がかかりすぎる、という面もあるでしょう。でもそれだけではないのも確かです。

実際に「コース料理が嫌い」と断言する方に、嫌いな理由を聞いたことが何度かあるのですが、だいたいこんな答えが返ってきます。

「間がもてなくてじれったい」
「好きなものを自由に食べたい」
「好きなタイミングで好きなように食べたい」
「堅苦しいイメージがあってくつろげない」

なるほど、ひとつひとつはなんとなくわかります。特にお酒を飲まない方には「間がもてない」問題は一際切実なようです。

堅苦しい、というイメージは、場数をこなせば簡単に払拭されるはずですが、そもそも場数を踏みたくなるような魅力も感じないということなのでしょう。

コース料理至上主義者たる僕に言わせるならば、コース料理の圧倒的なワクワク感の前にそんな些細な欠点は取るに足らないものである、ということになるのですが、そこはまあ、純粋に価値観の問題ですね。