厚生労働省の「簡易生命表(令和3年)」によると、2021年の日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳で「長寿」と言えそうです。ただし、平均寿命が伸びた一方で、長生きによる「老い」に直面せざるをえない場面も増えています。91歳になった今でも執筆活動を続けている、評論家・東京家政大学名誉教授の樋口恵子さんは<老いのトップランナー>として、「自分の老いを実況中継しながら、皆さんと一緒に考えていきたい」と話します。その樋口さん「私は自信をもってボケてます」と言っており――。
自信をもってボケてます
認知症は私も怖いです。こんなことがありました。机の上から必要な書類がなくなり、必死で探したら、捨てるつもりのゴミの山の中から出てきて、ゾゾッとしました。
親友のひとりは、出先で受け取ったダンスのお手本のビデオを紛失したと思ったら、1週間後に自宅の冷蔵庫の野菜室で発見。どうやら受け取った後に、スーパーで買った野菜の袋に入れて持って帰り、そのまま冷蔵庫に放り込んだらしい。
野菜室の底で冷え切ったビデオを見つけた際は、「私、大丈夫かしら……」とゾゾゾーッとしたそうです。
そんなこともありますが、怖がってばかりいないで、「認知症になったらなったで仕方ない!」と開き直ることも必要かなと。ボケる、ボケないは神様に任せるよりしようがないですから。
私も2023年、91歳。年齢なりにボケている!と自信をもって言えます。「自分は絶対ボケない、ボケてない!」と言うよりは、自然かなと思います。