『リムジン』稽古場で。前列左から倉持裕さん、田口トモロヲさん、田村健太郎さん(後列右)と(写真提供◎青木さん 以下すべて)

 

青木さやかさんの連載「50歳、おんな、今日のところは『……』として」――。青木さんが、50歳の今だからこそ綴れるエッセイは、母との関係についてふれた「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」、初めてがんに罹患していたことを明かしたエッセイ「突然のがん告知。1人で受け止めた私が、入院前に片づけた6つのこと」が話題になりました。
今回は「舞台が好きな人として」です。

前回「亡き父の故郷・富山県の利賀村へ一人旅をすることに決めた。陸の孤島、道に迷って思わぬ出会いも…」はこちら

 

きっかけは戸田恵子さん

ただいま舞台『リムジン』の絶賛稽古中(倉持裕さん作・演出。向井理さん水川あさみさん主演)だ。コロナが世の中に蔓延し始めた時に上演予定だったこの舞台。数年遅れたが11月に本多劇場でスタートをきることになった。

一組の夫婦がついた嘘が、さらに嘘を呼んでゆく。取り返しのつかない事態へと進んでいく。お稽古中、自分が出ていない場面は席に座ってみているのだが、なんとも可笑しくて声をあげて笑ってしまう(稽古の邪魔かもしれない)。わたしにとっては贅沢な時間なのだ。

舞台に興味を持ったのは、戸田恵子さんの一人芝居『なにわバタフライ』をみたことがキッカケだった。ミヤコ蝶々さんの半生を描いた2時間の戸田さんの芝居に圧倒されて、終演したのに、なかなか席が立てないほど感動した。そこから舞台に興味を持ち、三谷幸喜さんに直談判し、数年後パルコ劇場の舞台『桜の園』によんでいただいた。それが12年前になる。