脱いだ靴下すら可愛くてたまらない

縁といえば、まさか自分が42歳で結婚するとは思わんかった。夫となる俳優の佐藤さんと知り合ったのは、舞台での共演がきっかけ。稽古場での演技を見て、「この人は演じる役に完全になり切って言葉を発している」と、鳥肌が立つほど感動したんです。話してみると、人柄も優しくて素敵な人。

仲良くなりたいと思うと、私はぐいぐい攻めます。待っていても、アプローチしてくれへんから。最初は「そういう気持ちじゃないから」と釘を刺されていました。でも、だんだん「うーん」と考えだして。あれ、最近否定しないぞ、と。（笑）

結婚するまでは、他人と暮らすのは難しいとばかり思ってた。でも、無理じゃない人っているんやなあ。最初は早く起きて朝ごはんとか作ったけれど、お互いマイペースが一番やと気づいてやめました。

達さんは脱いだ靴下をくるくるっと丸めて、その辺にぽとんと落とす癖があって。私にはそのくるんと小ちゃくなってる靴下が可愛くてたまらないんです。もちろん、これがイヤになる日も来るかもしれへんけど。（笑）

でも最近、初めて怒りました。私もお酒が好きだから、「何時に帰る」と言っても守れないのはわかる。でも「帰る」と言われたら待ってしまうし、約束破られたら頭に来てしまうねん。そう真剣に怒りながら、同時に「あれ？　私ってこんなに器の小さい人間だったかな。人に求めない性格やったし、あの山ちゃんにも求めたことなかったのに」と。結婚して初めて知った自分が面白いです。

達さんは個展にも来てくれました。サイン会に人が多く集まったことが「すごく嬉しくて涙が出た」やって。自分の幸せを、一緒に喜んでくれる人がそばにいる幸せを、今はしっかりと味わっていたいと思います。

新たな挑戦ですか？　うーん、今は新しいことを始めるより、お笑いや演技、絵など、ずっと取り組んできたことを続けていくつもりです。自分の人生を振り返っても、続けることに意味があると思うから。そして今回、個展の良さを知ったので、全国の皆さんに私の絵を見てもらいたいという気持ちもあります。

ただ、未来はわからない。ボクシングの時のように、《運命》を感じたら、パッとチャレンジする日が来るかもしれません。