台東区で4歳児が薬物によって中毒死し、両親が逮捕されるという痛ましい事件が起きた。父親による性虐待、母親による過剰なしつけという名の虐待を受けながら育った碧月はるさん。これは特殊な事例ではなく、安全なはずの「家」が実は危険な場所であり、外からはその被害が見えにくい。きょうだいでも虐待されたのは自分だけ…何度も生きるのをやめようと思いながら、彼女はどうやってサバイブしてきたのか?虐待当事者としての思いを綴る
4歳次女の殺害容疑で両親逮捕
2024年2月14日、X(旧Twitter)上に「両親逮捕」のトレンドが並んだ。このワードを目にした瞬間、また子どもが殺されたのだと直感した。
昨年3月13日、東京都台東区のマンションから救急搬送された細谷美輝(よしき)ちゃんが病院で亡くなった。享年4歳。司法解剖の結果、美輝ちゃんの体内から抗精神病薬の成分と、工業用に使われる「エチレングリコール」がそれぞれ検出されたという。
2月14日午前、美輝ちゃんの両親にあたる父親の細谷健一、母親の志保両容疑者が殺人容疑で逮捕された。
美輝ちゃんは、3人きょうだいの末っ子、次女として生まれた。志保容疑者は、出産2ヵ月後に自宅ベランダにて衣類に火をつけたとして、虐待を通告された経緯があった。この件を受けて児相は子どもたち3人を一時保護したが、のちの親子関係を“良好”と判断し、保護を解除した。
美輝ちゃん以外のきょうだいにも直接的な虐待があったのかは、現段階では判然としない。だが、生き残った2人の心的外傷が深いことは言うまでもない。その上で、きょうだい1人がスケープゴートにされる虐待事案が決して珍しいものではないことを、私自身の体験を通して伝えたい。