最近のアメリカではテクノロジー業界を中心に大規模な人員削減が起こり、リストラは今も続いていると言われます。そのようななか「会社に身を任せて生きていくのは危険。必要なのは、自分が勝てそうな<場所取り>をすること」と話すのは、リクルート社の初代フェローを経て教育改革実践家として活躍する藤原和博さん。今回は、藤原さんの新刊『どう生きる?――人生戦略としての「場所取り」の教科書』より「昇進によって増えていく<SSK比率>」について紹介します。
40歳でリクルートを退社後「フェロー制度」第1号に
社内でのポジションには注意を払いましょう。
昇進を手放しで喜ぶような“おめでたい人”になってはいけません。昇進した結果、エネルギーが大きくなる人はいいですが、なかにはエネルギーを奪われる人もいるからです。
私は40歳でリクルートを退社し、インディペンデントの新規事業の立ち上げ屋として、リクルートではじめて、会社と対等のプロフェッショナル・パートナー契約を結びました。「フェロー制度」です。
当時、私は部長職にあり、3人の子供(6歳、2歳、0歳)を抱えていました。そのような状態で“一匹狼(いっぴきおおかみ)”になるのは珍しかったようで、マスコミからたびたび取材を受けました。何度も聞かれたのは、「どうしてそんなリスクを冒(おか)すのか」です。
会社という組織のなかでは、現場を離れて課長、部長、局長と昇進すると、定年までに大きなリスクを背負い込むだろう、と私は考えていました。
部下を預かり大きな部隊を率(ひき)いるほど、したい仕事を自分でできなくなります。できるだけ部下に任せて、その育成を図(はか)るのが、管理職の仕事だからです。