草笛光子さんが、作家・佐藤愛子さんの10年前を演じる――。長く愛されるエッセイ集『九十歳。何がめでたい』が映画化、6月21日に公開されます。佐藤さんのご自宅を見事に再現したセットで繰り広げられる女三世代のやりとりは、見どころのひとつ。《母》を温かく見守る真矢ミキさんの眼差しが、映画でも、この対談でも感じられます(構成:篠藤ゆり 撮影:天日恵美子)
踊って育った3人が家族に
真矢 今日はお招きいただき、ありがとうございます。光栄です。
草笛 『九十歳。何がめでたい』で、私の娘役をやってくださったわね。
真矢 佐藤愛子さんのお嬢さん、響子さんの役でした。だから今日、久しぶりにお会いできるのが本当にうれしくて。私の娘役の藤間爽子(さわこ)ちゃんも含めた三世代が同じ家で暮らす設定だったから、2ヵ月の撮影期間に現場で生まれたファミリー感が、いまだに抜けないんですよ。いまも草笛さんのことを「お母さん」と呼びたくなってしまいますし。
草笛 私は自分のことで精一杯だったから、皆さんと話している場合じゃなかったんだけどね。(笑)
真矢 でも私たち、すぐ追いかけちゃう。やっぱり、《母》から愛情を受けた人間として存在したいじゃないですか。
草笛 そんなこと言われても、私、本当のお母さんじゃないもの。愛情なんて大層なもの、簡単にはあげられないわよ。
真矢 またまた。(笑)