昼の6600円のコースから。写真手前の「きのこと鱧の炊き合わせ」はきのこの旨みと香り、食感を楽しめる。鱧を使うのは脂がのる9月以降と決めている。奥の「フルーツの白和え」は、9月は3種類のぶどうを使用。豆腐地はフルーツの水分や甘み、酸味により加減される

京都の人気店「和久傳」に、のべ14年間勤め、念願の店を構えた若杉葉陽(のぶはる)さん。

町家の風情漂う佇まいに惹かれて中に入ると、広々とした空間にカウンターが8席。一品料理を40種類ほど揃える夜に対して、昼はご飯を含めて6品ほどのコースを楽しませてくれる。

「昼は野菜多めの体に優しい料理を心がけ、うちらしいアレンジを大事にしています。夜のアラカルトに合わせて食材はいろいろ準備していますから、ご希望やお好みのものがあれば、当日でもできる限り対応させていただきます」

先付の「焼きなすのすり流し」は口あたり滑らかな胡麻豆腐を忍ばせ、脂ののる鱧は、鱧の骨でとっただしで炊いた10種類のきのこと炊き合わせに。

先付の「焼きなすのすり流し」は、なすと相性のいいウニをトッピング。なすをはじめ、野菜の多くは鷹峯地区の伝統野菜の作り手・樋口農園のもの。食材や調理法は包み隠さず明かし、家庭で作る際のアドバイスもしてくれる

人気の白和えは旬のフルーツを合わせ、地元の「上田とうふ」の絹ごしを使った滑らかな豆腐地がたっぷりとかかる。いずれも素材の持ち味を引き立て、味加減がなんとも絶妙だ。

街中から少し距離はあるものの、ここにしかない味と出会える。金閣寺や大徳寺にほど近いので、散策の折にぜひ。