1990年代半ばから2000年代初頭に就職活動をした「就職氷河期世代」は、2024年時点で30代の終わりから50代前半にあたります。今も多くの問題を抱えており、厚生労働省が様々な支援を続けています。このような状況のなか、労働経済学を専門とする近藤絢子教授は「コロナ禍の経済活動への影響が落ち着いた今、改めて就職氷河期世代に目を向けなおすべき」と語っていて――。そこで今回は、近藤教授の著書『就職氷河期世代-データで読み解く所得・家族形成・格差』から一部引用、再編集してお届けします。
「就職氷河期世代」とは
就職氷河期世代。1990年代半ばから2000年代初頭にかけて、バブル崩壊後の不況の中で就職活動をせざるをえなかった世代を指す言葉である。
「就職氷河期」という言葉が初めてメディアに登場したのは1992年秋と言われている。1994年には新語・流行語大賞特別賞を受賞している。
このころ、バブル景気の崩壊を受けて雇用情勢が急激に悪化し、新卒の就職市場も冷え込んでいった。この就職難は、90年代末にはさらに深刻さを増し、2000年代半ばまで続いた。
具体的にいつからいつまでを就職氷河期と呼ぶか。
本記事では、2019年の「就職氷河期世代支援プログラム」関連の公文書の定義に倣い、1993〜2004年に高校や大学などを卒業した世代を就職氷河期世代とする。
生まれ年で言うと、1970年(1993年に大学を卒業)から1986年(2005年に高校を卒業)が該当する。
「国勢調査」(総務省統計局)の人口データと「学校基本調査」(文部科学省)の進学率などを使って大まかに計算すると、1993年から2004年の間に高校・短大・大学を卒業し社会に出た就職氷河期世代の人口は、約2000万人だ。これは日本の人口の約6分の1にあたる。
ただし、既存の文献における就職氷河期世代の定義には若干の幅がある。卒業年ではなく、生まれ年や特定の時点における年齢で定義されることもある。