リリー・オンコロジー・オン・キャンバス 絵画部門最優秀賞『今日も紅をさす』
絵画部門最優秀賞『今日も紅をさす』三村 麻子(みむら まこ)さん
がんと告知された時の不安、がんと共に⽣きる決意、そしてがんの経験を通して変化した⽣き⽅など、⾔葉だけでは伝えきれない想いを絵画・写真・絵⼿紙で表現する「場」があります。がんサバイバーの方の思いが詰まった作品を紹介します。

告知に対し「絶望」という感情はなかった

2023年、私は人生のどん底で耐え難い苦痛の中にいた。

そんな折り、追い打ちをかけるかのように医師から

「直腸に直径11㎝を超える腺腫というものがあり、一部は癌の可能性…ウンタラカンタラ…命を守るためには人工肛門…大きな病院で…ウンタラカンタラ…」

ちょっと何言ってるかわからない。

どこかで聞いたこのフレーズが頭の中を巡る。

ところが意外にも「絶望」という感情はなかった。

むしろ「起死回生の策」となるのではないかとさえ思えた。