77歳のいまも医師として、多くの患者と接している鎌田實先生。これまで出会った人々や自身の体験から「人は歳を重ねて迎える下り坂でこそ、上手な人生のギアチェンジができる」と感じるようになったそうです。そして若い頃にはできなかった「ちょうどいいわがまま」や「ちょうどいい堕落」ができるようになった延長線上に「ちょうどいい死に方」が待っている…といった先生の想いをまとめた『うまいように死ぬ』より今回は一部を抜粋、ご紹介します。
「上手な人生のしまい方」が人生を輝かせる
医師になってちょうど50年になります。たくさんの死に立ち会ってきました。
「心臓が止まりかけたら心肺蘇生をしましょうか?」と聞くと「もう十分生きた。ややこしくなるから余計なことはしないで」という人や「死は人生最大の冒険」と〝棺桶に後悔を持ち込まない〞人たちを、たくさん見てきました。
「うまいように死ぬためには、うまいこと生きることが大事なんだ」ということに気がつきました。「うまいこと生きる人は老い方上手だ」ということもわかりました。