加齢とともに、体は「陽」から「陰」へ移行し、冷えやすくなります。 背中がゾクゾクするような寒気を感じることが増えてきたら、新たな対策が必要なサインです(イラスト:末続あけみ 構成:菊池亜希子)
原因は1つではない。 加齢でさらに深刻に
寒さが堪えるこの時期、靴下をはいていても足先が冷たい、全身に寒気を感じるなど、慢性的な冷えに悩まされていませんか。
「人は、年齢を重ねるにつれて新陳代謝が低下し、東洋医学で言うと体が『陽』から『陰』の状態へ変化するため、冷えやすくなります。これは成長と発育を担い、体全体を温めるエネルギーである気(腎気)が加齢とともに減少するからです」と、東京女子医科大学附属東洋医学研究所教授の木村容子先生は語ります。
「女性の腎気がピークに達するのは28歳です。そこから数年続くピーク以後は緩やかな下り坂に入り、更年期を経て高齢期になると、体は『陰』の度合いを増し、徐々に冷えが強まっていくのです。腎気の衰えによる全身の冷えを『新陳代謝低下タイプ』といい、高齢期には男女問わず訪れる可能性があります」(木村先生。以下同)
しかし、「冷えの原因は腎気の衰えだけではありません」と木村先生。「血行不良」と「胃腸虚弱」も引き金になるというのです。
「暖かい室内にいても足先が冷たいのは『血行不良』が原因。本来、気(生命活動のエネルギー)と血(血液)は互いに助け合いながら体内を巡りますが、寒暖差などで自律神経の働きが乱れると巡りが滞り、末端部分に血が届かなくなって冷えるのです。『血行不良タイプ』の冷えは、肩や首のこり、頭痛、足のむくみなど、さまざまな症状を引き起こします」
「胃腸虚弱」が原因の冷えは、お腹まわりが冷たくなるのが特徴。
「体質や生活習慣、さらに加齢によっても胃腸の働きは弱まります。すると、食べたものをスムーズに消化吸収して熱(エネルギー)に変えられなくなり、胃もたれや食欲不振、下痢などが起こりやすくなり、冷えも生じるのです」
「血行不良タイプ」と「胃腸虚弱タイプ」は年齢に関係なく起こりますが、加齢による「新陳代謝低下タイプ」がそこに加わると、冷えはさらに深刻になるといいます。
「腎気の衰えが原因の『新陳代謝低下タイプ』の冷えは、個人差はあるものの高齢期には皆に起こる可能性があり、背中がゾクゾクするなど全身に寒気を感じやすいのが特徴です。腎気は老化と関係するため、外出すると帰宅後にグッタリする、腰が重だるい、忘れっぽくなる、などの症状も伴います」
