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ライター・しろぼしマーサさんは、企業向けの業界新聞社で記者として38年間勤務しながら家族の看護・介護を務めてきました。その辛い時期、心の支えになったのが大相撲観戦だったと言います。家族を見送った今、70代一人暮らしの日々を綴ります。

兄とまともな会話ができなかった私

同じ家に住みながら、会話がほとんどない夫婦、親子、兄弟姉妹がいるというのは、とても理解できる。

私は20歳を過ぎた頃から51歳までの約30年間、4歳年上の兄と同じ家に住みながら、まともな会話をしたことがなかった。私から話しかけても「うるさい」と言われ、相手にされなかった。

父は、自分の息子(私の兄)が子供の頃から短気ですぐに怒り、家族以外の人にはおとなしいのが気に入らなかった。そのため、兄とほとんど口をきかなかった。

ではどうしていたかというと、兄は母とは話をするので、母が兄の言葉を父と私に伝え、父と私の言葉を母が兄に伝えていたのだ。

私は、母が生きている間はよいが、母が亡くなったら、どうやって兄と話をしたらよいのかと思い、かなり悩んでいた。

兄は何もかもが私と逆で、背が高く、スタイルが良く、スポーツができ、学校の成績は中の上で、ギターが弾け、歌がうまかった。家にたびたび来る友人たちも感じが良かった。

兄は大学受験の時に高望みをして大学を選び、合格できず、2年浪人してから大学に入学した。浪人したとはいえ、私は兄の運の良さをうらやましく思っていた。