ライター・しろぼしマーサさんは、企業向けの業界新聞社で記者として38年間勤務しながら家族の看護・介護を務めてきました。その辛い時期、心の支えになったのが大相撲観戦だったと言います。家族を見送った今、70代一人暮らしの日々を綴ります。
ひとり暮らしの危機でペットが飼えない
息子さんの家族と一緒に暮らしている70代の知人から、「あなたは1人で寂しいでしょうから、飼っている猫に子供が生まれたらあげましょうか?」と言われたが、断った。
私は、ペットに責任が持てないので、飼えないと思っている。私が孤独死したら、ペットが餓死してしまうという不安のほかにも理由がある。
自分のドジによるものも含めて、ひとり暮らしの危機をいろいろ経験しているからだ。過去の急な入院以外に、昨年は部屋の戸が開かなくなり、部屋から出られず、窓から出た。先日は、宅配便で缶詰の詰め合わせを贈ってくれた人がいて、喜んで運ぼうとして膝を痛め、廊下に座り込んだまま30分間、動けなかった。
また、少人数だが貿易会社と業界新聞社で合わせて40年近く働いてきたが、独身女性の年金は少なく、そこから介護保険料や税金を引かれるので、ペットの食費や病気になった時の医療費を払うのが難しいのだ。
そして、都内に住んでいた頃、飼っていた「マツ」という犬と「チロ」という猫を思い出すと、その思い出だけで十分だと思ってしまうのである。
マツは、茶色の毛並みの雑種で、大型犬より少し小さめだった。耳がピンと立たず、少し折れていた。私が5歳の時から13年間、玄関の横の犬小屋で暮らしていた。マツが家に来た当時、大相撲に『松登』(最高位は大関)という力士がいて、父がファンだったので「マツ」という名前をつけた。チロは黒い縞のトラ猫で、私が13歳の時から9年間、家にいた。
2匹の共通点は、どんな人間も大好きということだった。
