ゲームが趣味の会社員・青峰のもとに、大学時代の友人・大村茜から結婚式の招待状が届く。しかし彼女の結婚式当日、青峰にはどうしても外せない予定があった。それは、新作ゲーム「メグルの伝承」をプレイした仲間たちとのオフ会で――。
気鋭のミステリー作家・阿津川辰海さんによる、ゲーム愛たっぷりの一編!

 

 青峰は「御出席」をまず二重線で消した。次に「御欠席」の「御」を同じように消す。「御住所」の「御」、「御芳名」の「御」を同じように消した後、「そうだ、『芳』もだ」と気付き、うねうねと線を伸ばした。

 ――これじゃ、みっともないな。

 顔をしかめながら、スマホで「結婚式 返信ハガキ マナー」と検索する。

 ――そうか。この空白のところにメッセージを書くのか。調べておいてよかった。

 青峰は定型文を一言一句引き写した。

『ご結婚おめでとうございます。あいにく所要があるため残念ながら欠席させていただきます。』

 自分の字がガタガタで辟易する。会社もリモートワーク中心になって、文書を作る時もパソコンで済ませてしまう。ペンを握る機会なんて、そうそうない。