内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によると、65歳以上の就業者数は年々上昇しており、21年連続で前年を上回ったそうです。そのようななか、65歳の林山翔平さんは「十数万円の年金だけでは生活に余裕がない」と危機を感じ、雇用延長の途中から「定年バイト」の就活を開始しました。そこで今回は、林山さんの著書『年金だけじゃ生活できない!「定年バイト」奮戦記』より一部を抜粋し、定年バイトの実態をお届けします。
「俺も…」シニアモデル業界活況 面接を受けるも高額の「入所費用」が必要だった
「シニアモデル募集」の広告をネットで見て、「俺もできるかな」と興味を抱いた人は少なくないだろう。私も同じ。「テレビのバラエティー番組に出られるかも。いや、俳優としてデビューするのも夢ではない」と淡い夢を抱いて、ある芸能事務所に応募した。
面接場所は都内のオシャレな一等地にある事務所。100インチほどの液晶テレビが据えられ、パイプ椅子が並んでいる。私のほかに70歳前後の男性と50代らしき女性が座っていた。本日は集団説明会&オーディションだ。
定刻になり、女性スタッフの佐山氏(仮名)が仕事の説明を始めた。この会社は設立から十数年。CM制作や雑誌などにモデルを派遣し、年に5000もの案件を受注している。現在の広告業界では50歳以上のシニアモデルは史上空前の需要があり、この会社には90代の男性も登録しているそうだ。
「今やシニアモデルの市場規模は100兆円にのぼります」
と佐山氏は高らかに宣言する。
100兆円とはすごい数字だ。
10分ほどで説明が終わると、モニター画面に数本のCM映像が流れ始めた。いずれもこの会社のシニアモデルが出演したものだ。ペヤング、バイトル、ヤクルト、スシロー、警視庁、ジョンソン&ジョンソン、ミズノ、森永製菓と有名な企業や団体が次々と映し出される。
「右から2番目の方が当社所属のタレントさんです」
「画面真ん中の主役級の男性。この方も当社のモデルです」
「この映像はハワイで撮影されました」
透き通る声で佐山氏が詳しく解説する。