捨松を演じる多部未華子さん
(『風、薫る』/(c)NHK)
柔らかな雰囲気と強さを併せ持つ、俳優の多部未華子さん。見上愛さん、上坂樹里さん主演の連続テレビ小説『風、薫る』(総合、毎週月曜~土曜午前8時ほか)で陸軍卿・大山巌の妻、捨松を演じている。『風、薫る』は田中ひかるさんの『明治のナイチンゲール 大関和物語』(中央公論新社刊)を原案に、看護師という職業の確立に貢献した大関和と鈴木雅をモチーフにしたバディドラマだ。明治を舞台に、看護の黎明期を描く。りん(見上愛さん)と直美(上坂樹里さん)を看護の世界に導く捨松役を、『つばさ』主演以来、17年ぶりの“朝ドラ“出演となる多部さんが存在感たっぷりに演じている。作品や捨松役に込めた思いを聞いた。(取材・文:婦人公論.jp編集部)

かっこいい人

オファーをいただいて、捨松の人生について本を読み、実在した人物の重みと力強さを感じたんです。やりがいのあるキャラクターだから、演じたら楽しいだろうと思いました。

<大山捨松は会津藩の家老の娘として生まれる。アメリカに10年ほど留学して帰国。陸軍卿の大山巌と結婚し、“鹿鳴館の華”と呼ばれた実在の人物だ。鹿鳴館で慈善バザーを開催し、日本にチャリティーやバザーを根付かせた。アメリカで近代看護を学んだ経験から、看護婦教育所の設立を支援。劇中では、自分のやりたいことのために目的を持って大山巌と結婚したことが明かされている>

捨松は、明治初期に「女性として」ではなくて「自分自身として」何がやりたいかをまずいちばんに考えられるかっこいい人。すごくクレバーで、やりたいことをぶれずに貫いている。本を通して、捨松の女性としての葛藤や家族との関わり方を知ることができて、その生き方に憧れました。

『風、薫る』場面写真 りん(見上愛)、直美(上坂樹里)、捨松(多部未華子)
(『風、薫る』/(c)NHK)

<炊き出しの日、その場で体調を崩し吐いてしまった男の子に親身に世話を焼いたりんと直美の姿を見た捨松は2人を正規に訓練された「トレインド・ナース」に誘った。2人が梅岡看護婦養成所に入所以降も、悩み相談に乗り背中を押してきた>

りんと直美に影響を与える役なので捨松にはかっこいいセリフがたくさんあるんです。捨松の信念やかなえたいことが明確にセリフに込められているので、役を掴むという意味で難しいと思ったことはありません。捨松は、りんと直美のいいところも悪いところも理解した上で寄り添っている。捨松が答えを押し付けるのではなくて、どうしたら2人にとっての「良い答え」が彼女たちなりに導き出せるのかを常に考えるようにしています。