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ライター・しろぼしマーサさんは、企業向けの業界新聞社で記者として38年間勤務しながら家族の看護・介護を務めてきました。その辛い時期、心の支えになったのが大相撲観戦だったと言います。家族を見送った今、70代一人暮らしの日々を綴ります。

知らない老人の心配ごともわかるのか?

穏やかな70代は夢の夢で、友人に話すと、「えっ!それどうしたらいいのか私には分からない!」と叫ばれるような悩みを抱えて、私はひとりで生きている。

ある日、大通りの歩道を歩いていて、高級車の販売会社の前に来た。ガラスの向こうに並ぶ高級車を眺め、「高級車に縁のない一生だったな」と思い、金銭的にも身体的にも、さらに厳しくなる生活を思い、目をつぶって悩みだした。

その時、横から「コラッ、コラッ」という声がした。目を開けると、高級車が並ぶショーウインドウと私が立っている間に、大きな犬がいて、ものすごく心配そうな顔をして、私を見上げていた。

飼い主さんが、「すいません」と言い、強い力でリードを引いたが、犬は「大丈夫?」という心配そうな顔をして、動こうとしない。私が「素敵なワンちゃんですね」と言うと、飼い主さんは嬉しそうに「ゴールデン・レトリバーです」と教えてくれた。

私が歩き出すと、犬も歩きだした。飼い主さんはどんどん先を歩いて行くが、リードを引かれながら、犬は何回も心配そうな顔で私を振り返っていた。

次の日のことである。解決できない悩みを抱えた時は、コンビニで一番安くて美味しい甘いモノを買うしかないと思い、実行した。

その帰り道、小型犬を抱いた女性が私の前を歩いていた。犬はその女性の肩越しに、私をずっと見ていて、ものすごく心配そうな顔なのだ。そして、私に「ワン」と小さく吠えた。

女性は振り返り、私に「すいません」と謝った。60代後半に見える人だった。

私はその女性に聞いてみた。「ワンちゃんは、人間の心が分かるのですか?心配なことがあると察したりしますか?」と。

突然の見知らぬ人からの質問なのに、飼い主さんは、「心配ごとがあるときは、私の傍にいて心配そうに見ています。主人が病気の時は、離れませんでしたよ。だから可愛くてしかたありません」と話してくれた。