(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
物価高や人件費高騰により、全国の国立大学病院の約7割が赤字と、多くの病院で厳しい状況が続く現代。そのなかで、鳥取県米子市にある鳥取大学医学部附属病院は、黒字を維持しています。全国で最も人口の少ない鳥取県の大学病院は、なぜ黒字経営を実現させたのでしょうか。今回は、病院改革の現場に立ち会ったフリーTVプロデューサー・結城豊弘さんの著書『病院がなくなる』より一部を抜粋し、「鳥大病院」改革の苦闘の日々をお届けします。

テレビ局での医療に関わる番組経験

原田省(たすく)鳥取大学医学部附属病院病院長(当時)から長文のメールと丁寧な電話を頂いた。それは、鳥大病院をなんとか良い病院にしたいという熱い想いと、病院ブランディングを私に考えて欲しいという依頼だった。原田病院長には二つ返事で「引き受けます」と戻した。そして先ずは、鳥取大学医学部附属病院の現状を知るところから始めたいとリクエストをお願いしたのだった。

私自身は、これまでテレビ局で医療に関わる番組経験が全くない訳ではなかった。

私は大阪の読売テレビから、1995年、当時まだ東京都千代田区二番町に本社があった日本テレビに出向。

ザ・ワイド(元NHKの人気アナウンサーだった草野仁さんが司会を務めた午後のワイドショー。読売テレビと日本テレビの共同制作で、午後2時〜4時まで、月〜金毎日2時間の生放送。オウム真理教や統一教会などのカルト宗教や事件事故、政治の話題を積極的に取り上げ、現場取材と生中継を武器に、スタジオの識者解説を交えて分かりやすくニュースを伝えるなど、画期的な番組として人気を博した。それまで芸能ニュースが中心だったワイドショーから硬派な報道番組へと舵を切った番組。現在の読売テレビ制作の報道番組『情報ライブ ミヤネ屋』の前進番組)の取材ディレクター、演出プロデューサー、チーフプロデューサーを約10年経験した。

その前は、アナウンサーとして制作番組やスポーツ番組にも出演したが、ニュース番組や『ウェークアップ!』(土曜日毎週朝8時から生放送していた、読売テレビ系全国ネット報道番組)で現場取材とコーナーを任せてもらい国内外の医療機関や病院を多数取材した経験もあった。

HIV感染とミドリ十字薬害エイズ事件、多くの抗菌薬が効かなくなる多剤耐性菌MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)による院内感染取材、乳房温存手術などの乳ガン治療、骨粗鬆症のメカニズム取材、ガン治療最前線、生体肝移植取材など医療系取材も多かった。読売テレビのある関西には、京都大学、大阪大学といった国立大学や附属病院、私立大学病院、国立循環器病研究センターも有り、ニュースも多く取材機会にも恵まれていた。