noteが主催する「創作大賞2023」で幻冬舎賞を受賞した斉藤ナミさん。SNSを中心にコミカルな文体で人気を集めています。「愛されたい」が私のすべて。自己愛まみれの奮闘記、『褒めてくれてもいいんですよ?』を上梓した斉藤さんによる連載「嫉妬マニア」第33回は「テレビドラマ『Tシャツが乾くまで』を毎週欠かさずみている。「体」より「心」の浮気の方が許せない!私が欲しいのは心の優先順位なのだ」です
テレビドラマ『Tシャツが乾くまで』
現在放送中のテレビドラマ『Tシャツが乾くまで』がめちゃくちゃ面白い。すっかりハマってしまい、毎週欠かさず見ている。
最初はよくある不倫ドラマかとそれほど期待していなかった。性行為があることが前提の、裏切った行為そのものを断罪するような不倫の話にはそろそろ飽きている。しかし、今回の作品は肉体関係を持たない心の浮気の話なのだ。
単なる「裏切られて許せない」的な描き方ではなく、複雑な感情や、人間のコミュニケーションのすれ違いについて真っ向から描かれているから面白い。
ある夏の日、東京から長野へ向かう高速バスが橋から川へ転落するという事故が起こり、主人公・咲子の夫の充は行方不明となる。咲子夫婦の近所に住む樹生の妻・あずさもなぜか同じバスに乗っており、遺体となって発見される。
遺された咲子と、あずさの夫・樹生がお互いの配偶者の事故の背景を調べると、2人が隣同志でバスに乗っていたことがわかる。ただ、充が事故直前にサービスエリアでバスを降りたまま戻っていなかった映像が残されていて、充が事故で亡くなっていないのに妻のもとに戻らず自ら姿を消していたという衝撃の事実が発覚する。
さらに調べる中で浮かび上がってきたのは、充とあずさが毎月第3金曜日にコインランドリーで密会していたという秘密だった。肉体関係を持っているわけではなさそう。しかし、そのコインランドリーでの会話の時間をとても大事にしていた2人。
いつも優しい夫に愛されていると信じていた妻が突きつけられた現実はあまりにも残酷だ。このドラマを見ていて本当にえぐられるのは、やはり彼らの関係が肉体関係を伴わないプラトニックな不倫であるという点に尽きる。
