(写真:AdobePhotoStock)
noteが主催する「創作大賞2023」で幻冬舎賞を受賞した斉藤ナミさん。SNSを中心にコミカルな文体で人気を集めています。「愛されたい」が私のすべて。自己愛まみれの奮闘記、『褒めてくれてもいいんですよ?』を上梓した斉藤さんによる連載「嫉妬マニア」第32回は「根拠なんてなくても平気な顔で自信満々な人種に抱く感情は羨ましいを通り越して、いっそ憎い」です

前回「気が付くと、私が嫉妬している相手は、女性ばかり。でも、認められて嬉しい相手もまた、女性なのだ」はこちら

自信がある人が羨ましいを通り越して憎い

嫉妬についてこれだけ書いていると、いつも同じ問題にぶち当たる。自分に揺るぎない自信さえあれば、他人と比較して嫉妬することもないだろう。自分は自分、他人は他人と、そう思えるはずだ。

自信がある人が羨ましい。

ずっとそう思ってきた。世の中には、根拠なんてなくても平気な顔で自信満々な人種がいる。羨ましいを通り越して、いっそ憎い。

エッセイで賞をとっても、連載ができても、出版ができても、一向に自信がつかない。

たまたま面白い出来事が起きたから。たまたまインフルエンサーが拡散してくれたから。これまでのことは全部「まぐれ」か「ラッキー」。本当は自分には実力なんてない気がするのだ。

先日テレビで『上田と女がDEEPに吠える夜』という番組を見ていたら、まさにこの状態に「インポスター症候群」という名前がついていると知った。自分を過小評価してしまう心理傾向のことらしい。

番組の中で、お笑い芸人の吉住さんが賞レースで優勝した時のことを「運でたまたま優勝しちゃった。この後どうしよう……。審査員が一人でも違ったら……その日の心理状態が違ったら、この結果ではなかっただろうから、自分の実力だとは思えない」と語っていた。

画面を見ながら、激しく頷いてしまった。私もずっとそうだ。実力があるかのように装い全員を騙し続けてきてしまったけれど、もういいかげん本当のことがバレてしまうんじゃないかと、いつもヒヤヒヤしている。

どこかで評価されたとき一瞬はホッとするけれど、2、3日経つと元通り。拡散してくれた人に死ぬほどお礼をして「〇〇さんの方角に足を向けて寝られません!」「100万円送りますね」なんてつまらないゴマを擦りまくり、媚びまくる。

ちゃんとした自信をつけなきゃ。そのためには、もっともっと努力しなくちゃ。ああ、あの人はまた新しい本を出している。それに比べて、やっぱり私はダメだ。

自分に自信がついたなら、一体どんな気分なんだろう。健やかに、純粋にただ楽しく文章を書けたなら、どんなに幸せなんだろう。