(写真提供:Photo AC)
名脇役女優としてテレビや映画、舞台で活躍された一方、エッセイストとしても知られた沢村貞子さん。そんな沢村さんが1966~1983年の間、新聞の人生相談に寄せられるさまざまな悩みに回答した83篇をまとめた書籍が刊行されました。そこで今回は書籍『わたしの人生案内』より一部を抜粋し、人間関係や夫との不和に悩む昭和の女性たちに送った言葉をご紹介します。

学歴を偽っていた夫を子供があざけっています

相談

結婚生活20年の44歳の主婦。一男一女があり長女は現在N大英文科に、長男は高校に在学中です。主人は結婚当時、僕の大学時代は……などといい、旧制高女出身の私は劣等感さえ抱いたものです。

ところが大卒はウソで、昔の中学さえ出ていなかったのです。一時はこのことで私は随分、悩みましたが、子供のことを考え我慢して来ました。

主人は現在、醸造会社の社長で人目には平和な家庭と映るような生活をしています。しかし、子供たちは成長するにつれ、主人の無教育を笑うようになり、お母さんも随分おめでたいな、などとかげ口をきく始末です。子供たちのこうした侮蔑感は主人にもわかるらしく、気にしているようでした。