美輪明宏さんが2026年6月20日、91歳で逝去されました。10代で歌手デビューして以降、俳優、声優としてなど多彩に活躍。芸術や文学に造詣が深く、社会的メッセージも発信し続けました。50年前から親交のあった渡辺えりさんが、美輪さんと過ごした貴重な思い出を語ります。(構成:篠藤ゆり)
授賞式用に届いた白いスーツと靴
私の舞台もよく見に来てくださったんです。客席は100人ほどの小劇場で、私は脚本、演出、出演をしていました。
1982年初演の、いじめられっ子を描いた『ゲゲゲのげ 逢魔が時に揺れるブランコ』は、「本当にいい舞台だ」と褒めてくださり、こんなことをおっしゃったのです。
今まで自分は働きが悪い人や気が利かない人を怒ったりしたけれど、人それぞれ事情があり、悩みを抱えているわけだから、そういう人たちを怒ってきたことを自分は反省する――と。
あれほどのアーティストなのに、そうやって若手の芝居を素直に見てくださるんだと感激したし、その後の励みになりました。
その『ゲゲゲのげ』は、岸田國士戯曲賞を受賞、私も劇作家として認められたとうれしかった。すると、美輪さんが授賞式用にと、白いスーツと靴一式をプレゼントしてくださったんです。私にしては珍しく正装で、ちょっと恥ずかしかったけれど、美輪さんの愛を感じたものです。