(写真:AdobePhotoStock)
noteが主催する「創作大賞2023」で幻冬舎賞を受賞した斉藤ナミさん。SNSを中心にコミカルな文体で人気を集めています。「愛されたい」が私のすべて。自己愛まみれの奮闘記、『褒めてくれてもいいんですよ?』を上梓した斉藤さんによる連載「嫉妬マニア」」第37回は「誰からも必要とされなくなる不安をもつ私は、圧倒的多忙な有名人の余裕に嫉妬する」です

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中吊り広告を見に東京へ

8月のある土曜日。京王井の頭線の中吊り広告を見に行った。映画のPRの企画を手伝わせてもらったからだ。

映画のPR! 電車の中吊り広告! しかも東京の井の頭線! なんて都会っぽい仕事だろう。テレビで聞いたことあるような都会ワードばかりが並んでいる。有頂天で名古屋から渋谷へ向かい、該当車両に乗り込んだ。

あったあった! 「これ書いたの、私! すごいでしょ?」と周りの乗客に知らせたい気持ちでバシャバシャと写真を撮って下北沢で降り、待ち合わせていた知人とランチをした。コンクリート打ちっぱなしで天井が高く、開放感のあるとてもおしゃれなカフェだった。

すっかり下北沢に馴染んでいる風な顔でメニューを注文したあと、先ほど撮った広告の写真をSNSに投稿した。すると、すぐにその映画の公式アカウントがリツイートをしてくれた。

「へえ〜。公式アカウントがあるんだ?」
アカウントを覗いてみると、そこには私以外にもたくさんの作家やインフルエンサー、芸能人たちが、同じようにその映画のPR企画に参加していることを知らせるポストがずらりと並んでいた。