2021年12月、大分県別府市と九州大学の実証研究で、「温泉には特定の病気のリスクを下げる効果がある」と発表された。温泉入浴で腸内細菌が変化し、免疫力にいい影響を与えるというものだ。温泉の本質を知り、より効果的に入浴すれば、効果もUP!? また、旅に出られなくても、温泉の豆知識を得ることで、湯けむりに思を馳せ、癒しを感じることも…。消化器外科医・温泉療法専門医であり、海外も含め200カ所以上の温泉を巡ってきた著者が勧める、温泉の世界。安心して、どっぷりと浸かってみてください。
※本記事は『秘湯マニアの温泉療法専門医が教える 心と体に効く温泉』(佐々木政一、中央新書ラクレ)の解説を再構成しています

前回●温泉につかると、なぜ「ハァ~」と声が出るのか

先人の知恵が詰まった「伝統的入浴法」

日本人は、経験的に温泉が体に良いことを知り、ただ浸かるだけではなく、独特の入浴法を生み出した。その一部を紹介しよう。

●全身浴

比較的深い浴槽に座位で肩まで浸かる。入浴法の中では一番水圧がかかるので心臓疾患がある人は注意が必要。

 

●半身浴(腰湯)

腰骨のやや上まで温泉に浸かる方法。全身浴に比べて水圧の負担が軽いので、体力低下時、心臓疾患がある人にもおすすめできる。

 

●寝湯

比較的低温の浅い浴槽に横たわり、長時間(20~ 30 分)浸かる。リラックスできるので精神疲労、不眠、高血圧、動脈硬化などに効果が期待できる。

 

●打たせ湯

「滝の湯」とも呼ばれ、滝のように落下する温泉に肩、首筋、腰などを打たせることで筋肉のこわばりを和らげ、肩こり、腰痛などに効果がある。筋湯温泉(大分県)が有名。

●足湯

血流が悪くなりがちで冷えやすい足を湯に浸けて温めることで、温まった血液が全身を巡り、体中が温まる。全身浴ができない場合でも、手軽に体を温めることができるのがメリット。