生命誌研究者でJT生命誌研究館名誉館長を務める中村桂子さん。1936年生まれの中村さんは科学者としてレジェンド的な存在ですが、長く生命について研究してきた先で、人間も「生きもの」だから、自然の摂理に素直になるべきという考えに辿りついたそうです。中村さん、実は大の寅さんファンで、その名言の数々から元気をもらっているそうです。
ふらふらした寅さんの言葉に、いいものが
映画『男はつらいよ』は全巻DVDを持っており、落ち込みそうな時にはその時の気分に合いそうな巻を選んで、寅さんにお目にかかると一遍に元気になります。
父親と大喧嘩の末に家を飛び出し、人呼んでフーテンの寅になるわけですから、世間的には決して褒められた存在ではありません。しかも、勝手な時に叔父さん夫婦と妹のさくらが営む団子屋にフラッと帰ってきて皆を困らせては、一人で拗ねたりするとんでもない奴です。
けれども、葛飾柴又という土地柄はこんな寅さんを受け入れ、みんな心の奥で寅さんを思いやっている、こんな人間関係が安らぎを与えてくれます。
ケラケラ笑いながら見ていると、悩み事がだんだんに消え、《これでいいのだ》と思えてきます。
しかもこのふらふらした寅さんの言葉に、なかなかいいものがあるのです。私が最近愛用している寅さんの言葉は「キリがありませんから」です。