イラスト:いなばゆみ
体力向上やダイエットによいとされるウォーキング。なかでも50代以上の人におすすめしたいのが、さまざまな科学的効果が証明されている「インターバル速歩」です。万病を遠ざけ、手軽で無理なく続けられるその方法を伝授します(構成=島田ゆかり イラスト=いなばゆみ)

10歳年を取るごとに5~10%筋力が低下

年を重ねて「体力が落ちた」と嘆いている人は多いでしょう。そんな人は、運動を習慣にして、体力を向上させる必要があります。

そうお話しすると、「ウォーキングをしている」と答える人も多いのですが、実は、のんびり散歩程度のウォーキングを何分続けても体力をつけることはできません。「1日1万歩」を目標に歩いてもあまり効果がないことが、私たちの研究で明らかになっています。

体力をつけるには、「自身の最大体力の60%程度の運動強度」が必要です。のんびり歩く運動強度は30~40%。一方、「最大体力の60%程度の運動強度」とは、「ちょっときついな」と感じるくらいの、少し負荷をかけた運動のこと。動き始めて5分ほどで動悸がして、息がはずみ、20分ほどで汗ばむくらい。でも、一緒にいる人と軽い会話ができるくらいの運動強度が目安です。

息が上がりすぎてハアハアする、会話できない、場合によっては吐き気までする、といった運動は最大体力の100%近い強度といえるでしょう。そこまでの運動は必要ありませんが、体力向上には「ややきつい」と感じる運動が非常に効果的なのです。

では、「体力」とは何だと思いますか? 特に中高年者で重要なのが、筋肉の持久力(ここでは単に筋力と呼ぶ)で、「1分間に体内でどれくらい酸素が消費できるか」が評価の基準になります。

マラソンなど持久性競技をするオリンピック選手の場合、1分間で体重1kgあたり約70~80mLの酸素を消費するといわれている一方、要介護状態の方は10mL以下。これは極端な例ですが、体力と酸素消費量の関係について、イメージしやすいでしょう。