昨年の暮れにお母さんを亡くしたマリさん。慌ただしく葬儀などを進めていく中、一連の段取りを見ていたイタリア人のご主人が発した意外な一言とは――。(文・写真=ヤマザキマリ)

慌ただしい母との別れ

昨年の暮れ、母・リョウコがコロナによって急逝した。入院先でコロナに罹患したという連絡を妹にもらったその翌々日のことだった。

冬休みでイタリアから来日していた夫と息子と一緒に慌てて北海道へ戻るも、なんとも慌ただしい母との別れになってしまった。火葬の日取りはコロナによる死者のために設定された日に限定され、それまで葬儀業者に引き取られている亡骸には親族ですら近づくことができない。

葬儀は結局、地元のカトリック教会で、火葬場から引き取った骨壼を前に家族と数人の関係者だけで執り行うことになったが、一連の段取りを黙って見ていた夫から、ふと神妙な表情で「リョウコはカトリックなんだから土葬にするべきなのに、なぜ火葬なの」と言われたときは驚いた。