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〈治療〉基本は絶食と点滴。原因次第で手術も
急性膵炎の診断基準は「症状」「血液検査」「画像検査」です。急性膵炎と診断されたら、入院治療となります。女性に多い胆石が原因の場合は、胆管の出口に詰まった胆石を取り除く手術を行います。口から挿入した内視鏡で、胆管の十二指腸への出口である十二指腸乳頭部にメスを入れ石を摘出。胆のうの中に石があると、胆管に落ちて再発しかねないため、予防として腹腔鏡手術で胆のうを除去します。
胆石以外が原因の急性膵炎は軽症で3 日程度、中等症で1 週間程度の入院が必要です。治療の基本は「絶食」と「点滴」。絶食することによって膵液の分泌を抑え、炎症を改善します。重症の場合は、大量の点滴と腹痛を抑える鎮痛薬、腸の常在菌が全身に回るのを防ぐ抗菌薬を投薬する「薬物療法」で治療します。さらに、腎不全を伴い尿が出にくくなるため、透析で血管中の悪性物質をろ過する「血液ろ過透析」を実施。また最近では、早期の段階で鼻から小腸にチューブを挿入し、栄養補給をすると良いといわれています。
以前は、膵臓が壊死したところに細菌が感染すると膿が溜まって危険な状態になるので、最終手段として手術を行っていました。しかし最近では、内視鏡を使って胃から膵臓にトンネルを作り、腐った組織を取り除くことが可能になっています。