主戦場はトラック

ただ、大迫にとって、主戦場はトラックだった。2年だった11年に中国・深センでのユニバーシアード(現ワールドユニバーシティゲームズ)1万メートルで優勝。

12年ロンドン五輪に向けては、代表選考会の日本選手権1万メートルで佐久長聖高の先輩でもある佐藤悠基に0秒38差で敗れ、代表入りを逃した。

『箱根駅伝-襷がつなぐ挑戦』(著:読売新聞運動部/中央公論新社)

この時、ゴール後に拳をトラックにたたきつけて悔しがる大迫の姿は、陸上ファンの脳裏に焼き付いている。

13年の日本選手権1万メートルでも佐藤に0秒90差で敗れたが、同年の世界選手権モスクワ大会の代表に選ばれた。大学4年で出場した世界選手権では、28分19秒50で21位に終わった。

優勝したモハメド・ファラ(英)に1分近くも離され、決意を新たにした。「スピードをアメリカで磨き、ファラとの距離を一年一年、必ず縮めてやる」