背中でチームを引っ張る主将
翌日の早朝から雪辱のための戦いを始めたチームの中で、柏原は主将を任された。
「主将らしいことは何一つしていない。他の4年生がしっかり考えて行動してくれるから、自分の走りに集中できる」と謙遜していたが、主将が背中でチームを引っ張り、他の選手たちは柏原への依存心をなくすことで、チーム全体がたくましくなっていった。
象徴的だったのが2011年10月の出雲全日本選抜大学駅伝だ。1区で柏原が6位と出遅れる想定外の展開。だが、他の選手は浮足立たなかった。少しずつ順位を上げて4区で逆転し、そのまま逃げ切って初優勝。
柏原は「僕がふがいない走りをして迷惑をかけたが、改めてすごくいいチームだなと思った。今季の東洋は一人が駄目でも巻き返す力があることを証明できた」と、仲間への信頼を深めた。
さらに11月の全日本大学駅伝では鬼気迫る走りを見せた。アンカーの8区で登場し、1分40秒差の2位でたすきを受けると、前を行く駒大を必死の形相で追った。
視界に捉えられるところまで迫り、33秒及ばなかったものの、諦めない姿勢を主将としてチームメートに示した。柏原は「この悔しさを1月2、3日に返したい」と、涙ながらに雪辱を誓った。