なぜだか、男性を求めている
「さやかちゃん再婚考えてる?」
「うーん。まあ、想像つかないけど、まあ、うん」
「歯切れ悪いね」
「考えてる! したい! というほどの元気と自信がないんですね、わたしには。多分」
「さやかちゃんほど魅力的でもそう思うんだね」
さやかちゃんほど魅力的でも、だって。頭イカレてるな。
「まあ、こればかりは、相手がいることだから。というか、離婚だけはしたくないという気持ちもあるからかな、いや、なんだろう、再婚したいのかどうかすら、わからないです」
「そうなんだね」
「再婚がしたい、というより、好きな人ができて、何度か会って、それで、もっと会いたいな、となっていって、結婚したい、となるの、かなあ、まあ」
「パートナーでもいいんじゃない? さやかちゃんの話聞いてると」
「それがさ、時代に逆行してるようだけど、わたしは、なんか相手の苗字になる、みたいなことに憧れというか、安心感が、あるような気が」
「そうなのね」
「わたしみたいな人いるのかなあ。今や、夫婦別姓とか、パートナーとか、聞くけど、わたしは家族がいいなあ、と思ってみたり、しています」
ま、よくわからないんだけど、とわたしは何度も言った。実際よくわからないのだ。恋愛と結婚は違うのですよね、家族というのは家族なんですよね、女性として求められたいが、結婚したらそこは薄れるのだろうか。
仕方ないのだろうか。それは、わたしにとっては、とても寂しいのだ。何十年も連れ添った夫婦に大いなる憧れがある。山あり谷ありで過ごしてきたのだろうが、二人三脚のようにもみえて、それってどんな感覚なんだろうか。
ものすごく興味がある。それにわたしは、なぜだか、男性を求めている。男性と二人三脚で生きていくことを、熱望している。