再婚の条件

大事にされてる女の人って、その女の人がそういう人だから、大事にされてるわけで、だから、わたしは、大事にされる自分になる努力をすればよいわけで、ということは、大事にすればよいわけだな。相手を、大事にすれば、よいわけだな。

わたしは、かつて、男性を、大事にできたことがあるだろうか。

ないかもな、ばかやろう。わたしの、ばかやろう。

わたしは、目をぎゅっと瞑(つむ)って、息を吸い込んだ。

「さやかちゃん、どんな条件? どんな人がいいわけ?」

「うーむ」

「イケメン好きでもないもんねえ」

「わたしは、イケメンだと思ってつき合ってるんだが、別れた後に、あの人はイケメンではないよと友達に言われますね」

「一般的なイケメン好きではなさそう」

「六角精児さんが好き、好きだわ、好き!」

「それは一般的ではないかも」

「いや、相当、イケメンというか、かっこいいのよ、とにかく、かっこいい。会ったらわかると思います」

条件、ないかも、ないなあ、ないと思う、思うが、と、自分で言いながら条件がないことを確かめた。

現実的に考えれば、子どもが好きな人とか、犬と猫がいるから動物好きな人、とかそういうことをあげるのだろうか。

だけど、そこから選ぶって、どうなんだろうか。たまたま出会って、たまたま気が合って、たまたま好きになって、それが自然なのではないのか。

いや、自然に任せて、条件も考えず、好きだという情熱だけで、合わない条件の部分も、つき合えばなんとかなるさ、と思ってきたが、そうも行かないことを何度も経験してきた。

人は簡単に変わらないのだ。結局、合わない条件は、合わないのだ。