相続についても注意が必要です。前述したように、元金は契約者が亡くなった時に相続人が担保物件を売却して一括返済します。子どもが「家は自分が相続したい」と考えるケースもあるので、契約前に親子でよく話し合っておくこと。

家や土地は相続できない可能性が高いこと、死後の売却手続きが必要になることは必ず前もって伝えてください。ただし、相続人が元金を一括返済すれば物件を手放す必要はありません。

また、担保物件の価値が下落して売却代金では元金が完済できないケースも考えられます。相続人に返済の請求が及ばないように、相続人が残った債務を返済する必要がない「ノンリコース型」を契約時に選んでおくとよいでしょう。

相続人に残った債務が請求される「リコース型」に比べて金利は高くなりますが、前者を選ぶほうが安心です。

ちなみに相続人がいない場合は、契約者の死亡後、機構が金融機関から債権を取得して担保物件の売却手続きを行ってくれます。財産を残す子どもや親族のいないおひとりさまが、自宅を担保にして最後まで快適な住まいを維持し、死後はスムーズに遺産を処分する。そんな使い方が理想かもしれません。

最後に、【リ・バース60】は、利用条件や融資の内容が金融機関によって異なります。詳しい情報が知りたい方は、お近くの取扱金融機関で相談するとよいでしょう。

自宅という財産を活用し、老後資金を手元に残しながらよりよい住まいを実現できるリバースモーゲージ型の住宅ローン。もちろん悩みをすべて解決してくれるウルトラCではありませんが、一つの選択肢として検討する価値はあると思います。

「自分にはまだ早い」と思う人も、こうしたサービスがあると知っておくだけで、老後の不安が軽くなるのではないでしょうか。