（7ページ目）久保ミツロウ×能町みね子×ヒャダイン「こじらせブロス」から「こじらせ公論」へ。頑張れないのは、歳のせい！？新連載　久保みねヒャダこじらせ公論　1｜連載

「約束のない関係」の貴重さ

──田辺さんについては、よきタイミングを待ちましょう。

久保　田辺さんのことは今も変わらず大好きだし、尊敬してるよ。でも今は自分のことを知らない近所の人と、なんの約束もせずに偶然会うのが楽しいかな。

能町　それで全然いいような気がしました。

ヒャダ　うん、私もそれでいいと思います。

久保　大人になってからというもの、友達と会うのってちゃんとした工程を経ないといけなくて……。

ヒャダ　そうですね。

久保　それでコロナ禍になってしまったから、友達と会うことのハードルがめちゃめちゃ上がってしまってて。

──それはあるかもしれないですね。

久保　「お互いに時間を捻出して外食をする」という部分に、「相手に無理に時間を使わせている」という申し訳なさを感じてしまうんだよね。だから今は約束のない（ご近所の犬友との）関係がいいなって。

能町　近所で人に会うの、最高に面白いですよね。大人の娯楽。いま私は青森でそれを味わってるんですよ。普通に街で会ったりしますもん。

ヒャダ　いいな。

能町　まあ狭いぶん、どこでなにしてたかっていうのがけっこうバレてたりしますけど。

久保　公園の犬友さんは年齢バラバラなんだけど、会話の流れでなんとなく「私は（昭和）50年生まれですね」って言ったら、「あ、私は51年」「じゃあ一緒だ」みたいな。

ヒャダ　いいじゃないですか。

久保　そこに自然にたどり着く会話の流れになるまで、めっちゃ時間かかったんだよ（笑）！

ヒャダ　人の名前をなんとなく覚えるのっていいですよね。会話の流れで出てきた名前があって、それを拾って自分も口にしてみるとか。

能町　「ずっとあだ名で呼んでるけど、そういえば本名知らないなあ」みたいな感じになるんですよね。私、神楽坂で行きつけのバーがあった時代があって。そのバーはなくなっちゃったんですけど、その付き合いは今でも一応あるんですよ。たま～に「忘年会やろう」みたいな連絡が来たりするんですけど、同級生というわけじゃないから、広がりがどこまでだかわからないんです。幹事さんが「誰々と誰々が来るよ」と言うときに、知ってる人と知らない人が交ざってくる。で、みんななんとなく付いた呼び名だから、工夫がないあだ名になっちゃうんですよ。「あーちゃん、ゆーちゃん、こうちゃんが来ます」とか言われても、「誰だっけ？」みたいな（笑）。

一同　（笑）

能町　もう全然わからなくて。

ヒャダ　「飲み屋でのあだ名、工夫ないがち」ですね（笑）。

能町　工夫ないがち（笑）。でも定期的に会うわけじゃない人と繋がり続けるのは、なかなか難しかったりしますよね。

久保　そうなんですよね。だって高校とか、仕事場とか、会う努力をしなくても会ってた時代の人は、また種類が違ったなーって。「友達になろう」という会話があったわけでもないし、とはいえ知り合いってだけでもない、みたいな。でも犬を飼い始めることで、「偶然街で会う友達」ができるとは思わなかった。だって毎日毎日、「りゅうちゃんのウンコが出る・出ない」の話ばっかりできるんですよ（笑）!?

ヒャダ　素敵なことです。

能町　いいことですね（笑）。