年を取ったら特に<口腔機能の虚弱>を意味するオーラルフレイルに注意を!(写真提供:Photo AC)
厚生労働省が2022年に行った調査によると、歯周病ともいわれる4mm以上の歯周ポケットを持つ人の割合は、高齢になればなるほど増加していたようです。そのようななか「老化は口の中から始まる」と語るのは栗原クリニックの栗原毅先生と歯科医師の栗原丈徳先生。お二人いわく、年を取ったら特に<口腔機能の虚弱>を意味するオーラルフレイルに注意をしてほしいそうで――。

オーラルフレイルとは?

オーラルフレイルの「オーラル」は口腔という意味。ですからオーラルフレイルは、「口腔機能の虚弱」と訳されています。(「フレイル」とは「虚弱」の意で、日本老年医学会が提唱した、健康と要介護の中間を指す概念)

厳密にいうとオーラルフレイルは、身体的フレイルに含まれます。

食べものを噛んだり、飲み込んだりするために必要な口腔機能が衰えるため、オーラルフレイルの人は栄養が十分摂れなくなります。

その結果、3つのフレイル(身体的フレイル、精神・心理的フレイル、社会的フレイル)が引き起こされるため、オーラルフレイルはフレイルの前段階(プレ・フレイル)に位置づけられています。

オーラルフレイルは「食べる力」の衰えということになります。3つのフレイルに先立って、食べる力(および、しゃべる力)の衰えが始まるというわけです。

オーラルフレイルは、ある日突然起こるわけではありません。例えば、噛めない食品が増えて、やわらかいものばかり食べるのは、オーラルフレイルのサインだといわれています。また滑舌が悪くなって、うまく発音できない単語が増えてくるのも、オーラルフレイルのサインだといわれています。

こうした口まわりの機能の衰えは、少しずつ進行するので、すぐには気付くことができません。そのため、発見が遅れてしまうのです。

噛めない食品が増えるのは、ある意味で些細な症状です。そのため、見逃しやすいという特徴があります。そのため、がまんできる範囲の症状として、これまであまり問題にされてきませんでした。

しかしこれらを見過ごしていると健康寿命を延ばすことができないため、オーラルフレイルが注目されるようになってきたのです。