オーラルフレイルからフレイルに

オーラルフレイルを放置すると、フレイルのリスクも上昇します。下のグラフも飯島先生たちの研究によるもので、被検者となった高齢者を、健康な人(口腔健康)、プレ・オーラルフレイル、オーラルフレイルの3つのグループに分け、4年間追跡調査した結果です。

オーラルフレイルで死亡率増加<『70歳の壁を越える 食べる力』より>

するとオーラルフレイルの人は非フレイルの人と比較し、4年後には、身体的フレイルになるリスクが2.4倍高くなり、死亡率も2.1倍高くなることがわかりました。

何もしないでいると、足腰の筋力が低下するように、口まわりの筋肉も低下します。

噛む力が衰えて、やわらかいものばかり食べるようになると、噛むために必要な筋肉が低下していきます。

足腰だって、歩かないでいると筋力が低下します。すると、もっと歩かなくなって筋力はさらに低下します。筋力低下の悪循環ですね。

口まわりの筋力も同じで、やわらかいものを食べ続けていると、噛むための筋力はさらに低下し、これも悪循環で弱くなっていきます。

噛むための筋力低下を含めた口腔機能の衰えは、食欲の低下により低栄養をもたらし、全身の機能低下へと進んでいくのです。

※本稿は、『70歳の壁を越える 食べる力』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。


70歳の壁を越える 食べる力』(著:栗原毅・栗原丈徳/エクスナレッジ)

70歳の壁を越えて元気に生きていくためには、「食べる力」を落とさないことが大切!

・食べる力が衰えると寝たきりのリスクが!
・歯周病を放置しておいたらいずれ歯は抜ける
・歯周病で脳卒中や心筋梗塞、認知症、誤嚥性肺炎も!
・歯は1日に何回、何分みがくのがいい?

70代からの生活の質を劇的に高める「食べる力」が身につく方法を、人気の内科医と歯科医がやさしく解説。