マスク生活は時代を逆行

コロナ禍に受診された患者さんの中には、尿酸値が上昇して高尿酸血症になっている人が多く見られました。

痛風は高尿酸血症により発症します。尿酸値は7.0mg/dl(以下、単位省略)未満が基準値です。

この値を超えると痛風発作を起こすリスクが上がります。また高尿酸血症になると、動脈硬化も進みます。

コロナ禍では、尿酸値が6くらいの患者さんは、すぐに7とか8くらいまで上がりました。

原因は水分不足です。水分を摂ると尿酸が尿から排出されやすくなるのですが、水分が足りないので尿酸値が上がるのです。

患者さんに「水分を摂っていますか?」と尋ねると、みなさん十分摂っていないと答えていました。

また水分不足でドロドロ血液になっていると、酸素が細胞に届きにくくなるので、免疫力も低下します。脳の血流が悪くなると、将来的に認知症を発症する可能性も否定できません。

さらにドロドロ血液になると、血管が詰まりやすくなるので、高尿酸血症で動脈硬化が進んでいると、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まります。

夏場の熱中症対策などで、最近は人前でペットボトルの水を飲んでも失礼に当たらない時代になりました。

ドロドロ血液の予防という意味でも、よい生活習慣だったのに、マスク生活は時代を逆行させてしまったわけです。

今後もマスク生活がノーマルとして定着してしまうと、心筋梗塞や脳卒中、認知症などが増えるのではないかと心配しています。

※本稿は、『70歳の壁を越える 食べる力』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。


70歳の壁を越える 食べる力』(著:栗原毅・栗原丈徳/エクスナレッジ)

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