77・78年に放送されたドラマ『兄弟刑事』主演時の篠田さん。共演者には奈良岡朋子さんも(写真提供◎篠田さん)

1971年に大映が倒産。篠田さんは活動の場をテレビに移すが、その好青年ぶりに好感を持った女性の力が働いている。

――あぁ、青春映画のPRで関根恵子さんがテレビに出たときに、その予告篇が流れたんですね。それを「ウルトラマン」シリーズのプロデューサー橋本洋二さんの奥様が見ていらして、それが橋本さんに見出されることにつながって、いろいろ出していただきました。

73年には『ウルトラマンタロウ』で、タロウに変身する東光太郎の役が来て、これはかなり長く続きました。この役は僕の幼児性にぴったりで、楽しい仕事でしたね。

それと並行して『木下恵介・人間の歌シリーズ』にも出していただきました。『愛よ、いそげ』で、手紙を読むシーンがあったんですが、緊張して手紙を持つ手の震えが止まらないんです。

そうしたら、僕の父親役で出ていらした高橋幸治さん――NHK大河ドラマ『太閤記』の織田信長役や、朝ドラ『おはなはん』の速水中尉役で人気を博した方ですが、「震えるというのは、それだけ君の心が動いてるからだよ。僕も時々震えるよ」と言ってくださった。それを聞いたらすぐに震えなくなりましたからね。優しくしてくれたのは、女性ばかりじゃありません。(笑)

ですからテレビに出てお茶の間に多少顔を知られるようになったのが第2の転機かな、と思いますね。

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