「70歳を過ぎても『風間杜夫を使ってみよう』と思ってもらえるのは、本当にありがたいです」(撮影◎本社 奥西義和 以下すべて)
舞台、映画、ドラマなど多くの話題作に出演し続け、2024年4月で75歳を迎える俳優・風間杜夫さん。2月には不朽の名作小説『大誘拐』を原作にした舞台に出演します。俳優の道を歩み続ける風間さんが持つ、仕事とプライベート二つの顔とは――(構成◎上田恵子 撮影◎本社 奥西義和)

役者人生をスタートさせてから半世紀

今年の4月で75歳になります。劇団を作って役者人生をスタートさせたのが22歳の時ですから、もう半世紀以上役者をやっている計算になるんですね。早いものです。

50余年の間にはいろいろなことがありました。なかでも大きかったのは、やはり映画『蒲田行進曲』で評価を受け、ドラマ『スチュワーデス物語』で人気を得たことでしょうか。そのとき僕は34歳。人に名前を覚えてもらえるのはすごいことだなと思いましたし、それを機に役者人生がガラっと変わりました。

もう細かいことは忘れてしまいましたが、当時はどこへ行ってもキャーキャー騒がれて、しょっちゅう雑誌の取材を受けていた記憶があります。密着取材で1週間撮影所に通いつめる媒体があるかと思えば、撮影現場まで追っかけてくる子がいたり。それでこっちも調子に乗って、コンサートを開き、写真集を出し……。(笑)

「風間杜夫とハワイに行こう」と銘打ったツアーを組んで、ファンクラブのメンバーと飛行機を2機連ねてハワイに行ったこともあります。現地ではミニコンサートのほか、浜辺で運動会をやったりもしました。もはやアイドルですよ、34歳の遅れて来たアイドル(笑)。テレビ誌の「今週のアイドルの予定」というページに、僕の名前も載っていたのですから相当です。

「こんな人気、長続きするわけない。もって3~4年だろう」と考えていましたが、舞台を続けてきたおかげか、この歳になってもいろいろとお声をかけていただいて。70歳を過ぎても「風間杜夫を使ってみよう」と思ってもらえるのは、本当にありがたいです。