「2023年5月に米寿を迎えましたが、とくにお祝いはしませんでした。88歳になったからといって、めでたいことはないですよ」(撮影:浅井佳代子)
『婦人公論』の連載「美輪明宏のごきげんレッスン」で、珠玉の言葉と美しい書を届けてくださっている美輪さん。昨年88歳を迎え、半生を振り返ります。
(撮影=浅井佳代子 構成=篠藤ゆり)

朝起きたら庭の草花と会話して

2023年5月に米寿を迎えましたが、とくにお祝いはしませんでした。88歳になったからといって、めでたいことはないですよ。物価高の折、「お花を贈らなければ」などと気を使わせるのも申し訳ないでしょう。

それに、世界に目を向けると戦争で苦しんでいる方もたくさんいるのに、お祝いの会などで贅沢する気持ちになりません。私たちはご飯を食べられるし、逃げまどわなくてもすんでいます。平和であることに感謝しつつ、誕生日もひっそりと過ごしました。

日々の生活は、至極平穏です。朝起きると窓もドアも開け放ち、外の空気を取り入れます。そして庭の草花、木の精霊、金神様、水神様、龍神様に話しかけるのです。

「おはようございます。悪霊、死霊、生霊、怨霊、病魔を退散させ、エネルギーをくださって、どうもありがとうございます。また今日もよろしく」と。

そうすると、ふわ~っといい風が入ってきます。皆さんちゃんと、応えてくれるのですね。寝るときにも必ず、「今日もご苦労さまでした。今夜も守ってください」とご挨拶してから、枕元の灯りを消します。