「この作品が役者としての僕のキャリアに何をもたらすのかはまだわからないけれど、少なくとも僕の人生に大切な何かをくれたことは間違いないと思います」

佑真くんからの鋭い指摘は、彼自身もつらい思いをたくさん重ねてきたからこそのものでしょう。今も生きづらさを抱える人たちはたくさんいる、この作品を世に出すことが、そんな人たちをそっと支えることになりますように、そう願いながら撮影に臨みました。

それから、こういったインタビューも含めて、自分が発信する言葉には以前にも増して気を使うようになりました。人は悪意なく無自覚に人を傷つけてしまう。性的マジョリティかマイノリティかによって、優劣をつけられてしまうことがあります。

そもそも境界線は曖昧で、誰しもがマジョリティにもマイノリティにもなる可能性がある。だからこそ、誰もが自分らしく過ごせたらいいんですけど……。

そう考えていても時々、言葉選びを間違えてしまい、佑真くんに指摘されてハッとすることの繰り返し。それでも想像力を働かせて他者を捉えようとすることが出発点になるのかなと考えています。

こうやってチームで同じ目標に向かって走り、作品はもちろん演じる役柄そのものを一緒に作り上げて共有できたことは、すごく幸せな経験でした。この作品が役者としての僕のキャリアに何をもたらすのかはまだわからないけれど、少なくとも僕の人生に大切な何かをくれたことは間違いないと思います。