目指すは、90代の兄弟デュオ

――印象に残っている兄の言葉ですか? お互い、昔っから余計なことは言わないからなあ(笑)。あ、そうだ、ひとつ思い出した。何かの取材のとき、兄がぽろっと口にしたんです。「進は一番歌がうまいからな」って。

面と向かって褒められたことなんかないからね。ちゃんと僕のことを認めてくれているのだと胸が熱くなりました。僕が兄をどう思っているかというと、そうだな、一言で言えば、尊敬しています。今日は本人がいないから素直に言えるね。(笑)

兄のことは昔から「お兄さん」と呼んでいます。今だに口ゲンカはしますよ。今年で兄は79歳、僕は76歳。2人とも孫がいるいい年なのに(笑)。ケンカの理由は思い出せないくらい些細なこと。まぁ、お互いに理解して心が通じ合っているから、好き勝手言えるんでしょう。

昨年公開された『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021』では、挿入歌を任されました。僕が作曲し、2人で歌ったのが「ココロありがとう」。ケンカしながらも仲がいい僕らの〈兄弟愛〉が、作品のテーマとリンクするということでオファーをいただいたようです。全国の子どもたちに僕らの歌声を届けることができて光栄でした。孫にも自慢できましたし。(笑)

数年前からYouTubeを開設して、ビリー・バンバンの菅原進として新しいことに挑戦しています。たとえば、Adoさんの「うっせぇわ」をカバーさせていただき、ビリー・バンバンふうに僕が歌う動画をアップしました。映像も、笑いとペーソスを交えたチャップリンの短編映画のようだと好評で、再生回数は117万回以上というから驚きです。

僕のサウンドでゆっくり歌っているので、「うるさくない、『うっせぇわ』(笑)」「菅原さんが歌うと抒情詩」というコメントも。若い人が僕の歌で盛り上がってくれるのは嬉しい。

今も兄はリハビリを頑張っています。来年は55周年ですし、もちろんまた一緒にステージに立ちたい。僕らの目標は、90歳になっても2人で歌うことです。昔の声とは違うけど、年齢なりの味わいがあるはずだから。90代の兄弟デュオ、実現できたらかっこいいなと思っています。