化粧にはいろんな力がある

ひたすら自分の顔と向き合い研究し、ようやく納得がいく舞台化粧ができるようになったのは、15年目ぐらいの時でした。

恥ずかしがり屋の私にとって、舞台化粧は武装であり仮面でした。
濃いドーランを塗り、粉をはたき、チークにアイシャドウ、まつげを付け、眉毛を描き、もみあげを描いていく過程で男役のスイッチが入っていきます。
衣裳を着たら戦闘態勢は万全で、悪役、くせ者、どんな者にもなることができました。

宝塚時代のまだかわいかった私

化粧はコンプレックスも自分自身をも隠し、別の自分になることができます。
もう一人の違う自分を発見出来たら、自分を取り巻く厄介なことや、自分自身の呪縛から解放されるのかもしれません。

化粧にはいろんな力があります。
メイキャップ(=make up)は文字通り自分をアップさせます。
自分を素敵に見せようという意識が顔立ちを変え、前向きな生き方や心が顔を作ります。

仮面を取った今でも、私は越乃リュウになる武装をします。
丸腰では戦えない私は、今日も眉をりりしく描き化粧をし、ONのスイッチを入れ、うまい具合に化けています。


●日本テレビ『news every.』の「every.特集」にナレーターとして出演中
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