安静は麻薬

安保 残念ながら、急性期の腰痛の治療は安静が一番なんです。痛みをブロックする注射をしたり、鎮痛剤を使うことはありますが、基本的にはベッドの上で安静にして、痛みが治まるのを待つしかない。

大場 そうなんですか。

安保 ただ、「安静は麻薬」と言って、体をまったく動かさずに、じっと寝ているのはよくありません。痛い箇所を無理に動かすのは禁物ですが、患部以外の箇所はできるだけ動かすことが大切。

そうしないと全身の筋肉がどんどん落ちていき、いざ起き上がったときにふらついて転倒し、骨折することもあるのです。いわゆるロコモティブシンドローム(運動器症候群)の状態になっています。

大場 それは怖い。動かせるところは少しでも動かさないといけないんですね。

安保 ええ。絶対安静で寝ている状態だと、全身の筋力は1週間で10~15%落ち、1ヵ月で半分に減ってしまいます。高齢者だと、そのまま寝たきりになる可能性もあるんですよ。

大場 私の場合、寝返りは打てなかったものの、手と足は問題なく動かせたので、ベッドの周りに必要なものを置き、着替えも食事もすべて自分で。腰が痛まない姿勢をとって、ストレッチもしていました。日頃は時間がなくてできないフェイシャルマッサージも念入りに。おかげで、寝たきりだった間はお肌がピカピカでした。(笑)