若い時の夢を仮想体験

更に見ていて楽しかったのは、エルヴィスの「男」としての俗っぽさ。愛する彼女に自分の好みを押し付け、世界的ロックスターの知名度と財力を盾に、まだ高校生の子女を自宅に呼び寄せる。カジノや高級ブティックに連れまわし、自分の家から出るなと命じて、愛玩物としての子犬をプレゼント。

同居しているのにセックスを求めるプリシラを拒み、「今はその時じゃない」と、1年以上「じらしプレイ」。大好きなプリンは最後に取っておいて食べるタイプなんだろうと笑える。

一方で自分は女優や歌手と浮気し放題。どこぞの「光源氏」そっくりで、金も力も容姿も恵まれた男がすることはみな一緒のよう。エルヴィスの「男の本音全開」な行動は、溜飲が下がるほどにマッチョ。今時こんな行動はレアで見ることが無いので、必見だ。

いよいよ「その時」が訪れるや、プリシラにエッチな下着をつけさせ、互いにカメラで撮影大会。ルームサービス以外ドアを開けず、部屋にこもってやり放題…。

理屈抜きで「女であること」を、楽しめる映画

ああ、こんなですよね、男と女が盛り上がると…。これ、やりたいですよね、とみていてニヤニヤしてしまう。没入して観れば、女にとってこんなに楽しめる映画は無し! 自立だのフェミニズムは一切忘れて、2時間たっぷり「若い時の夢を仮想体験」してください! 

P.S.
前回おすすめした『オッペンハイマー』で固くなった頭を、今回はこの映画でうんと柔らかくしちゃいましょう。理屈抜きで「女であること」を、楽しめる映画。見終わって思うのは、「あー、オンナって楽しい!」これにつきます!