写真提供◎AC
貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。第63回は「おっパン 才能や人格と加害は別」です。

最終回を迎えた《おっパン》

先日最終回を迎えた『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』、通称おっパン(東海テレビ・フジテレビ系、練馬ジム原作)は、とても誠実なドラマだった。51歳の主人公・沖田誠(原田泰造)はお茶は女性がいれたほうが美味しいといった、性別役割分担意識丸出しの発言を繰り返し、同性愛に露骨に嫌悪感を示す。そんな主人公は「趣味は家族」と言うほど、家族を大切に思い仕事に励んできた。しかしある日、可愛いものが好きな息子を否定する発言をした際、「僕はお父さんみたいな人には絶対なりたくない!」と言われてしまい、大きなショックを受ける。その出来事をきっかけに、自らの価値観をアップデートしていくという物語だ。

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このドラマの素晴らしさについては、他の記事でいくつか書いたが、最終回を終えて、改めて書きたいことがある。

ある日、誠の職場に、誠以上の昭和おやじ・古池正則(渡辺哲)がやってくる。古池は会社を大きくした功労者だが、口を開けば、「女なのにほーーんと可愛げがないなあ」と女性を馬鹿にする発言をし、「なんでもかんでもコンプラ、コンプラって」と今の時代の常識につっかかる。失言オンパレードな古池に、誠の部下たちはストレスが溜まり、誠に古池をどうにかするように懇願する。

そんな折、誠の職場で、顧客からリース用のコピー機に不具合が発生したと言いがかりを付けられるというトラブルが発生。部下たちは自分たちに落ち度はないと分かりながらも、謝罪対応するしかないと誠に言う。そんな中、古池だけはそれはおかしいと言い、20年来の飲み友達で、コピー機製造会社の専務・鍋岡(佐野史郎)に会いに行く。鍋岡はむかしのよしみでアドバイスをくれ、そのおかげでトラブルは無事解決する。